ダークホースとは言わせない。今季の国学院大には、駒大、青学大の「2強」に割っ...
今夏に高地でトレーニングする国学院大の選手たち=長野県立科町で(国学院大提供)
ダークホースとは言わせない。今季の国学院大には、駒大、青学大の「2強」に割って入りそうな勢いがある。今秋の出雲全日本選抜駅伝、全日本駅伝はともに駒大に次ぐ2位に入り、青学大の前でゴールした。主将の中西大翔(4年)は手応えを実感する一方で「2番では満足できなくなった。箱根は総合優勝を目指す」と意気込む。
前田康弘監督が絶大な信頼を寄せるのが「4本柱」だ。8位に終わった前回の箱根の後、新体制の始動に合わせて4人が指名された。元々力のある選手たちだったが、リーダーとして「自覚と責任を持ってほしい」という指揮官の意図が込められた。
期待通りに、4選手は切磋琢磨し、結果を出してチームをけん引した。「4本柱と言われ、プレッシャーがすごかった」と当初は苦しんでいた山本歩夢(2年)は「他の3人に負けないように頑張らなきゃ」と発奮し、2月の全日本実業団ハーフマラソンで日本人学生歴代2位の1時間00分43秒をマークした。翌月の日本学生ハーフマラソンでは平林清澄(2年)と中西がワンツーフィニッシュ。5月の関東学生2部ハーフマラソンは伊地知賢造(3年)が制し、「賢くレースを進められるようになった」と成長を口にした。
4本柱が触発し合い、高め合う好循環は、チーム全体に広がっていく。代表例が1年ながら全日本駅伝で5区区間賞を獲得した青木瑠郁。箱根のエントリーメンバーにも名を連ねた。
今季のチーム目標は「大学三大駅伝で表彰台」。出雲、全日本は達成した。その2大会より区間数が多く、総距離も長い箱根は一筋縄ではいかない。前田監督は「復路での巻き返しは、僕たちにはできない。往路優勝イコール総合優勝」とみる。総合力では分が悪いため、序盤から4本柱を軸に、主導権を握りたいところ。「ちょっとずつ(優勝候補の)駒大に近づいている感じはする。目標は表彰台。ただ、それを超える2位、1位。(可能性は)ゼロじゃない」と火花を散らす。
国学院大が初めて箱根路を走ったのは2001年で、どちらかと言えば後発組。上位に入ったのは20年の3位しかない。総合優勝なら、大きなインパクトをもたらす。
「常連校の壁を崩し、箱根に新しい風を吹かせたい」と中西は奮い立つ。ひるむことなく、新たな歴史をつくる。 (丸山耀平)
第99回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が来年1月2、3日に行われる。21チームが往路と復路の計10区間、217.1キロで競う。優勝候補は、今秋の大学駅伝2大会を制して勢いに乗る駒大と、箱根2連覇を狙う青学大。この「2強」に次いで、地力のある有力校も虎視眈々と頂点をうかがう。栄冠をつかむのはどのチームか。駒大と青学大に加え、今季好調な国学院大の箱根路にかける思いや戦略を紹介する。全3回。